視界がゆがむ症状について
対象物がゆがんで見える症状は、歪視・変視症と呼ばれています。直線が曲がって見える、格子がゆがんで見えるなどの状態です。
歪視・変視症は、網膜にシワやゆがみを生じさせる疾患によって起こる症状です。特に網膜中心にある黄斑部に生じる疾患が原因で、歪視・変視症を起こすことが多くなっています。黄斑部は文字の認識なども行う重要な部分であり、障害を起こすと視機能に深刻なダメージを起こし、失明に至る可能性もあります。
視界がゆがむ症状がある場合、加齢黄斑変性症、黄斑上膜、黄斑円孔、中心性漿液性脈絡網膜症、黄斑浮腫などが疑われますので、将来の視機能を少しでも守るために、できるだけ早く眼科を受診してください。
主な原因疾患
加齢黄斑変性
黄斑部の異常によって、視界のゆがみ、中心部の見えにくさなどを起こす病気です。主に加齢によって起こりますが、喫煙、食生活、遺伝的要因などが発症に関与することもわかってきています。
加齢黄斑変性は、網膜色素上皮などが縮む萎縮型と、もろい新生血管が増殖してダメージを蓄積させる滲出性に分けられます。視界がゆがむ症状は初期に生じることが多く、進行すると視界の中心が全く見えなくなる可能性もあります。
近年患者数が増加傾向にあり、できるだけ早く受診して進行を抑制することが重要です。
黄斑円孔
黄斑部に小さな穴（円孔）が開いている状態です。黄斑部は文字の認識など細部を見分ける重要な機能を果たしており、円孔ができてしまうと視界のゆがみ、深刻な視力低下、注視する部分が見えづらい中心暗点などの症状を起こします。
円孔はほとんどの場合、徐々に大きくなります（ごく稀に、自然に閉じることもあります）。 強度近視がある場合、円孔から網膜剥離を生じる可能性が高いため注意が必要です。進行の程度などによって手術が必要になります。
黄斑上膜
硝子体の一部が膜状になって黄斑部に形成されている状態です。網膜にシワが寄るなどの障害によって視力低下やゆがんで見える症状を起こします。主に加齢によって生じる疾患で、日常生活に支障を及ぼす場合には手術が必要になります。
黄斑浮腫
黄斑部に腫れを起こしている状態で、視界のゆがみ、ぼやけ、視力低下などの症状を起こします。黄斑浮腫は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎などによって生じることが多く、黄斑浮腫の治療に加えて原因疾患の治療も不可欠です。
中心性漿液性脈絡網膜症
網膜の下に水分がたまっている状態で、以前は中心性網膜炎と呼ばれることもありました。中年男性の発症が多く、半数は半年程度で自然治癒しますが、症状が長引く、または再発を繰り返して視機能の大幅な低下につながる可能性もあります。
なお、全身投与・局所投与に関わらずステロイドを使用している場合、悪化しやすい傾向があります。ステロイド投与を受けている方で視界がゆがむなど視野中心が見えにくい場合には、特に早めの眼科受診が重要になります。
